カナヘビと休み

毎年夏から冬にかけて思い出すのが、中学生のころにペットとして飼っていたカナヘビのピチ子のことです。
私が小学6年生だったとき、我が家の前のブロック塀で日向ぼっこをしていたカナヘビがいました。
カナヘビは気付いていませんでしたが、我が家のブロック塀のすぐ隣には小鳥が巣を作っており、のんきに日向ぼっこをしているカナヘビはいつ狙われてもおかしくないだろうなという状況にいたのです。
私の母は少し変わった人で、そんなカナヘビを可哀想に思い、虫取り網で捕まえて水槽で飼うことにしたのです。
いきなり家族の一員となったカナヘビに私はビックリしてしまいましたが、キラキラ光る綺麗な身体、まーるいお目々にチロチロと動く小さな舌にすっかり魅了され、カナヘビのお世話係を請け負うこととなりました。
カナヘビは行きた小さな昆虫を食べるため、私はいつも学校が終わると近くの草むらに入り、カナヘビの為に昆虫をたくさん採って帰るようになりました。
いつしかカナヘビは母によりピチ子と名付けられ、私の生活の一部となりました。
ピチ子は私が近付くとこちらに寄ってきて、物珍しそうに私を見たり、広い水槽の中で動きまわったり、日向ぼっこをしたりと楽しく暮らしているようでした。
何年かが過ぎたある日のこと、私が学校からいつものように帰宅すると部屋からいつもと違う変な香りがしてきました。
母によると、ゴキブリが出たのでバルサンを焚いて出掛けていたとの事でした。
嫌な予感がした私は、足早にピチ子の元へと向かいました。
しかし、もう手遅れでした。
あの時ほど母を責め泣き叫んだことはありませんでした。
初めて母に反抗した思い出、ピチ子の悲しい思い出、この季節になるとふと思い出すこの頃です。